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顧客志向の営業は「お客様のために」NOと言う

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営業は出来るだけ顧客志向であるべきです。ただ、それは「お客様からのお願いに応じる」ことだけではありません。敢えて NO を言うことも、「お客様のために」必要です。 

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本日は「お客様のために」営業が出来る仕事の1つについてのお話です。 

私はSI(システムインテグレーター)という業界の営業を 6年やっておりますが、仕事柄、営業の仕事とは何だろうか、営業の付加価値とは何だろうか、お客様のために何が出来るのだろうか、ということをよく考えます。

というのも、私が従事しているSIという業界は、はっきり言ってしまえば、営業がいなくてもビジネスの根幹は揺るぎません。

お客様に、実際に付加価値を提供出来るのは、エンジニアなりコンサルタントであり、彼らがいればソリューションは完成し、お客様の課題解決は十分に成し遂げられます。

また、少しビジネス面での気が利くエンジニアであれば、ビジネス企画や提案活動、顧客関係構築に至るまで、「営業っぽい仕事」は、それなりに出来てしまいます。

もちろん、これら後者の活動を専属的に担いながら、多数の顧客・プロジェクト・エンジニアやコンサルタントに跨って、自分(と自社)にレバレッジを効かせながら、より多くの大規模で複雑な仕事を仕立て、顧客満足度と自社(及びパートナー企業)における利益の総和を最大化するのが、営業の役割です。

 

一方、営業が「エンジニアっぽい仕事」をするのは、ほとんど不可能ですし、目の前で困っているお客様に対して、営業だけでは、何一つ実質的な手助けや付加価値の提供が出来ません。

こうした点で、本来営業が一番に注力すべき「お客様のための仕事」を、営業だけでは実現できない。そんなジレンマを抱える仕事であるため、冒頭部の問いについて、自然と考えてしまうのです。

 

では、営業の仕事とは何だろうか。

営業の付加価値とは何だろうか。

営業はお客様のために何が出来るのだろうか。

 

これらのテーマについては、また改めて整理して書くつもりでいます。

 

ただ、ここで一つだけ先に言いたかったのは、「お客様のための仕事」は「お客様からの要望を聞くこと」と必ずしもイコールではない、ということです。

逆説的に聞こえると思いますので、仕組みを説明します。

 

以下の前回記事でも書きましたが、システムベンダーと顧客は、一蓮托生になってプロジェクトに臨まないと、大体失敗します。

どちらかが抜け駆けして、「勝ち」を取りに行くと、両社ともに痛手を負うものです。

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 「お客様の要望」とは、当たり前ですが、お客様にメリットがあるものです。そして、世の中はトレードオフが常なので、お客様のメリットは、ベンダーのデメリットに通じます。

例えば 、「品質を上げてほしい」「値段を下げてほしい」「納期を早めてほしい」等が分かりやすいでしょうか。ベンダーがこれを無条件に受け入れれば、追加コストや負担が間違いなく掛かります。

つまり、お客様に「勝ち」を与えて、自社を「負け」させることになります。

 

一見これは、「お客様のため」の行動に思えます。

でも、繰り返しますが、この業界で勝負を付ければ両社に損失が出る可能性が高まります。お客様に勝たせて上げたことで、結果的に損失を与えてしまいかねません

※この辺のロジックは上記の記事をご参照ください。

だから「お客様からの要望を聞くこと」が、そのまま「お客様のための仕事」にならないのです。

 

こういうことを言うお客様がいます。

「営業なんだから、社内を調整して安く提案してよ。営業なのにお願い聞いてくれないの?」と。

 

この場合、どう考えたって、値下げした方が、営業個人としては楽なんです。

調整の負担もなく、お客様の意思決定や受注スピードが早まり、短期には数字の見た目も良くなる。そして、目の前のお客様にも喜んでもらえる。別に自分の財布に入ってくるお金が減るわけでも、支出が増えるわけでもない。

でも、ここで甘えてしまうと、後々、両社の関係に深い傷跡を生じさせる危険性があるのです。

 

だから私は言います。

「お客様のためを思うからこそ、無条件にお値引きは出来ません。」と。

ここで、お客様に言われるがまま値下げする営業は、「お客様のため」でも「自社のため」でもなく、「自分のため」に仕事をしているのだと思います。

その方が楽で気持ちよいですから。

 

お客様のため、「自社」と「お客様」の両社を守りながら、両社でWin-WInの関係を作る。それが、この業界の営業の対顧対応として、一番大切な姿勢だと思っています。

自分自身への戒めも込めて、営業の心構えのお話でした。

※注:こちらで想定している営業像は、コモディティの大量販売や、サービスビジネスを行っている営業には当てはまらないと思っています。あくまで、顧客毎にオーダーメイドのプロジェクトを企画、提案、受注するようなSI営業を想定しています。