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読書の目的から考える【本の要約・書評サイト】の留意点と使い方

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時間のないビジネスパーソン向けの「本の要約・書評サイト」が流行っていますが、利用の仕方には注意が必要だと思います。その点について、読書の目的に立ち返り考えてみました。 

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最近、時間のないビジネスパーソン向けの「本の要約・書評サイト」が流行っていると聞きます。インテリ系の著名人が活用している話もよく聞きますし、私が勤めている会社でも、サイトとの契約が決まり、積極的に活用するよう奨励されています。

ただ、私はこのサービスを " 読書の代わりとしてそのまま活用すること " には少々懐疑的です。何故なら、読書の目的を考えた際に、自分で本を探し、自分で1から読むことと比較した際の、明確なメリットが分からないから。

その考えについて、少しお話してみたいと思っています。 

要約サービスの本質

そもそもこうしたサービスの本質は何でしょうか。何を価値として提供し、利用者は何を目的に、何を求めて活用することが想定されるのでしょうか。まずは、この基本を考えてみましょう。

サービスの内容としては、

① 流行っている(サイトが重要と考える)本の
② 要約を作成し、読者に提供する

ことだと思います。

それにより、「流行っている(他人のお墨付きがついた重要な)本の概要」を「短時間で知れる」ことが、利用者の得られる価値となります。

また、本の要約それ自体が知恵を求められる作業であり、誰でも容易に出来るわけではないと考えれば、そうした知的価値の提供も価値と考えられます。

つまり、これらを纏めると、当該サービスの本質は、「誰でも、大して頭を使わずに、重要だと思われる本の概要を、短時間で知れるサービス」と言えるのではないでしょうか。

読書の目的と要約サービスの適合性

それでは、「誰でも、大して頭を使わずに、重要だと思われる本の概要を、短時間で知れるサービス」は利用者にどんなメリットがあり、また利用者は、何を目的に、どう使えばよいでしょうか。

これは、利用者の「読書の目的」に大きく左右されるところだと思います。

私は、読書の目的を以下と捉えています。

(ア)知識(もしくは気づきなど)を得る
(イ)読解力・理解力を身につける
(ウ)一般教養としてコミュニケーションに用いる

その場合、「誰でも、大して頭を使わずに、重要だと思われる本の概要を、短時間で知れるサービス」は、何を満たすでしょうか。

私は(ア)(イ)が限りなく少しと、(ウ)を十分に満たすものだと思います。 

(ア)知識(もしくは気づきなど)を得る


読書の目的として一番分かりやすい項目だと思いますが、この目的達成に際して留意すべきポイントが3つあると思います。それは、

(A)読者ごとに、必要な知識や、得るべき気づきが異なっている
(B)それらが、そもそもどの本に書かれているか分からない
(C)本のどこに書かれているか分からない

です。 

人はみな、知識・知恵のレベルや課題感が異なり、各々に必要な情報も異なります。つまり、ある本の重要性や、その中で響くメッセージは、読者によって異なるし、同じ本から得られる内容(印象・感想含め)は千差万別です。

人が選んだ「重要だと思われる本」が、利用者には重要でなく、また、本来は響く部分があったとしても、要約・レビューとして切り取られた際に、消失する可能性がある、ということです。

後者をきっかけに、利用者が「不要な本」だと判断してしまうと、その知識に一生出会うことはなくなるでしょう。これは恐ろしいことだと思います。 

「私の要約や意見だけ知っておけば十分」なんてレビュワーがいたら、この辺の理解不足によるものであり、全くの信用に値しません。

以上より、【本の要約・書評サイト】に記載された本の要約が、いかに便利なインプットになるとしても、それが誰かのレンズで選別された以上は、それ単独で読者に十分な知識や気づきを与えるものではないと考えます。

ただし、ある本に興味をもつきっかけとして参考活用するのには一定の有用性があると思います。(スクリーニング(読まない本を決める)としての活用は危険です。レビューから漏れただけの可能性があるため。)その場合、是非を論じたり、自分自身の解釈を混入させるのではなく、フラットな視点で本や著者のメッセージを代弁してくれるレビュワーを選ぶといいですね。

また、一方で、レビュワーの解釈が多く含まれるレビューについては、それも一定の意味があると思います。レビュワーの考え方の方が、著者のそれよりも、読者が必要とする情報に合致する可能性があるから。

ただし、それは「本の要約:その本自体のメッセージ」ではなく、全く別の新しい作品だと捉え、原典にもあたるのがベストでしょう。

くれぐれもこれらの点をご留意頂きご活用いただけたら…と思います。 

(イ)読解力・理解力を身につける


こちらは、著者の論理展開を自分の頭で整理し、言葉を自分で分かりやすく言い換え、具体論を抽象論に、また、抽象論を具体論に、それぞれ自分の頭で考えて行うことで、読解力や理解力が身に付くものだと思います。

誰かが纏めたものでは、これらの力が身につかないのは明白ですね。 

(ウ)一般教養としてコミュニケーションに用いる


教養やコミュニケーションツールとしては、概要を踏まえ自分の意見や経験と混ぜて語れれば十分でしょう。

ビジネスでも偉い方は読書家が多いですから、同じ本の概要を知り考えを語り合えれば、「勉強熱心で気が合う人」と高評価を得られるかも。(…薄っぺらい考えを述べてはマイナス評価かもしれないので、自分で咀嚼し考える姿勢はいずれにせよ必要です。)

この用途においては、短時間でメジャーな本の概要を短期間で知れるので便利ですね。

まとめ

以上、【本の要約・書評サイト】の留意点と使い方を書いてきましたが、その有用性やメリットは、読書の目的によるのかと思います。

話題の本の概要を知り、人との会話のネタやコミュニケーションツールとして活用するなら、要約や書評単独で読んでも便利でしょう。

一方で、自分の見識を広げ、新たな気づきを得て、理解力を高めたいのであれば、自分で本に目を通し、読みこんで咀嚼した方が効率良く、得られる価値も高いでしょう。(興味をもつきっかけとして要約やレビューを使うのは良い。) 

 

今後、このブログでも、簡単な読書メモを取り上げていきます。

位置付けとしては、上記のうち「レビュワーの解釈を混ぜ込んだもの」として掲載しますので、本記事の内容も参考にご覧いただけたらと思います!